ヘソで茶をわかす

日本のへそ、諏訪湖畔に住む小市民の日々の記録

松の葉の天然酵母を使ってピザを焼いてみたよ

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突然ですが、松葉酒とか松葉サイダーという飲みものをご存知でしょうか?

その名の通り、松の葉を使ったお酒とサイダーなのですが、厳密には松の葉自体を使うのではなく、そこについている天然酵母を使います。

材料は松の葉と水と砂糖だけ。

松の葉についた天然酵母が砂糖を材料に発酵することを利用して作られた飲料です。

日本酒やワインなどと同じ原理で、実際に発酵が進むとアルコールも生成されるらしい。

「らしい」というのは、本当に作ってしまうと法的にアウトっぽいので実際に試したことがないからです。

でも、知識として知っているだけでは物足りないことってありますよね。だから、以前から、いつか試してみたいと思っていました。

そこで、今回は松の葉の天然酵母の「醗酵」にだけ着目し、これでパンを焼いてみようと挑戦してみました。

 

松葉サイダー

気になると試さずにはいられなくなる若い頃からの持病が発症したは、まだ夏の暑さも残る秋の始めの頃でした。

手作りの松葉サイダーの作り方は、洗った松の葉を瓶瓶に詰め、砂糖水を入れて日なたに置いておくだけという、子供のママゴトみたいなレシピなのですが、実際に商品として売られてもいて、どんなものなのか興味がわきました。

松の葉に限らず、様々な植物に天然の酵母菌はついているそうです。そして、それらの天然酵母菌は糖をエサにして増えていき、そのさい炭酸ガスを発生させるわけです。たしか高校の時に生物の時間にそんな話を聞いたような気がします。

つまり、松葉サイダーは、この発酵によって発生する炭酸ガスを容器に封じ込めるようにして炭酸飲料水にするわけです。

天然酵母を使い炭酸水をつくるだけなら他の植物由来の酵母でも良いということになりますが、酵母の付着した植物ごと砂糖水に漬け込むことになるため、植物の香りが水にうつります。

最初にこれを作った方は、より清涼感を味わえる香りとして松葉を選んだのでしょうか。

香りのよい果物などの酵母を利用して「天然酵母パン」を作る方の多いそうですが、この酵母を増やす際にうつる香りの差も楽しんでいるのではないかと想像します。

松葉サイダーを作る

まずは材料となる松葉の採集ですが、よく行っている山で集めてきました。

埃やごみを取り除くためによく水洗いします。

よく水洗いした松葉

よく水洗いした松葉

洗ってしまったら酵母がなくなってしまいそうですが、洗っても大丈夫だそうです。

これを小さく分けて、水と砂糖(水の10%ほど)とともにペットボトルなどに入れて数日放置すれば完成です。

発酵前の松葉水

発酵前の松葉水

後で知ったのですが、袴の部分は入れずに、葉だけにした方がよいみたいです。

葉を入れた直後ですから水も透き通っていますが、数日して発酵が進む、ペットボトル内の水はだいぶ濁っていきました。

発酵後の松葉サイダー

発酵後の松葉サイダー

水が白く濁っているので見た目にも発酵が進んでいることが確認できます。

ペットボトルも発行によって発生したガスで内圧が高まり、指で押してもへこまないくらいにパンパンになっていました。

写真だけだと分かりずらいと思いましたので、開封シーンをgifアニメにしてみました。 

松葉サイダー

松葉サイダー

蓋を開けるとシュワシュワと気泡が発生します。市販の炭酸ジュースを開封した時と同じです。気泡の正体は発酵によって発生した二酸化炭素です。

気になる味ですが、炭酸は超が付くほどの微炭酸でした。見た目には結構強そうだったのでパンチの効いた強炭酸を期待していたのですが、ちょっと拍子抜けしました。

代わりにパンチが効いていたのが香りです。いや匂いです。

強烈な松脂臭。「爽やかな松葉の香り」とか言ってられない強烈さで、とてもおいしく飲めるという代物ではありませんでした。

これはサイダーを作る際に、ペットボトルに葉だけではなく袴の部分も入れてしまったのが影響したのだと思います。もう一度挑戦してみたいものです。

 

松葉についていた酵母を増やす

さて、松葉サイダーが一応完成しました。

しかし、目的は松葉サイダーではありません。これを元にパンを焼こうってことです。

この天然酵母がタップリ入っている松葉サイダーからパンを焼くために使う元種を作っていきます。

元種は小麦粉に天然酵母を移したものです。松葉サイダー(50g)に強力粉(30g)を混ぜ暖かいところに置いておきます。環境によって変わりますが、5~8時間ほどで1.5倍ほどに膨れます。

その後、さらに強力粉(80g)と水(120g)を加えて暖かいところで4~5時間発酵させます。かさは2倍ほどになります。

これをパンを焼くさいに使うわけです。

松葉由来の天然酵母の元種

松葉由来の天然酵母の元種

ここまでは実に順調でした。ここまでは。

 

後はホームベーカリーにパンの材料を突っ込んで焼きあがるのを待つのみ。

結構お手軽に出来るものだなぁと思っていたのです。この瞬間までは… 

上手く膨らまなかった松葉の天然酵母パン

上手く膨らまなかった松葉の天然酵母パン

全然膨らまねぇ…

何度やってもせいぜいこの倍くらいにしか膨らまない。通常の半分くらいの膨らみ方。

なにかコツみたいなものがあるのだろう、多分。市販されているイーストで焼くパンのようにはなかなかいかない。

ただ、食べてみるとただの小麦粉の塊を焼いたものとは違い、しっかりとパンらしい香りと味がしますし、市販の食パンのようなフワフワ感はないものの、多少膨らんでいて、パンらしい触感も楽しめました。

あ、いや、もしかしたら、失敗を認められずに、そう思いたいだけかもしれない…

だけれど、普段食べているパンとは別物であっても、パン生地っぽさは間違いなくあるので、それを活かした料理はできないものだろうか?

そんなわけで、方針転換。

松葉酵母を使ってピザを焼く

食パンのようなふっくらフワフワとはいかないものの、モチモチとしたパン生地らしい触感は確かにあるので、これを活かしてピザを焼こうと思います。

で、これを思い立って行動に移したのが先月のこと。

www.hesocha.com

冬キャンプ用に購入した薪ストーブを試しに行った際に、そのストーブでビザを焼こうと考えたわけです。

薪ストーブ

薪ストーブ

ところが、いざ薪ストーブを使おうという段になって、ストーブの欠陥を発見。安全を期して、その時は諦めて帰ってきました。

ピザを焼く予定だったスキレット

ピザを焼く予定だったスキレット

私は野外で料理をするときは、現地での手間を最小限にするため、食材は出かける前に調理しておくようにしています。

この日もピザを焼く予定だったので、自宅で生地をこね、具材を切ってありました。

ピザの具

ピザの具

雰囲気はありませんが、これを無駄にするのも勿体ないと思い帰宅後にピザを焼きました。

予定していた薪ストーブでの調理に環境を近づけるため、オーブンなどは使わず、ガスコンロとスキレットによる調理です。

ピザ生地を伸ばしてスキレットにのせ、ピザソースを塗ります。さらにバジルをパラパラ。

ピザ生地にピザソースを

ピザ生地にピザソースを

この上にピザの具材とチーズを乗せていきます。

ピザの具とチーズをタップリと

ピザの具とチーズをタップリと

具もチーズもタップリとかけます。具材には特にこだわりとかはありません。基本的には冷蔵庫にあったものでピザにしたら美味そうなものをチョイスしました。

蓋をして火にかけ、しばらくすれば完成です。

松葉酵母ピザ

松葉酵母ピザ

ん~ 良きかな、良きかな。

食べてみると、生地はスキレットに焼かれた表面はパリパリなのに、内側はモチモチ。

ピザにはピッタリな触感でとても美味しかったです。

適当な食材で作った割にはしっかりとピザっぽい味わいだったのは、やはりこのピザ生地のおかげか。

これを山で食べられたなら最高だったろうになぁ。

 

単に思ったように発酵しなかっただけなのだけれど、結果的に最高のピザ生地作れたので、まぁ、大成功ってことで良いのかな。

ただ、それはそれとして、松葉サイダーとそこから興す松葉の天然酵母のパンについては、あまりにも残念な完成度だったので、酵母がよく働くという夏にもう一度チャレンジしてみたいと思います。

 

 

そう言えば、不良個所が見つかった薪ストーブですが、販売元での故障個所の交換が済み、手元に戻ってきました。

近々いよいよ火入れです。

その様子はいずれこのブログでも紹介したいと思います。お楽しみに。

 

では、また。