ヘソで茶をわかす

日本のへそ、諏訪湖畔に住む小市民の日々の記録

不便もあるけれど、方言や訛りには暖かみや面白味がありますよね

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今週のお題「方言」

はてな界隈ならば「方言」ではなく「放言」だろうと思うのですが、お題に従い「方言」について。

田舎に住んでいると、どうしても方言が身に染みついてしまうものです。標準語のみでスマートに暮らそうとしても、無意識のうちに出てきてしまいます。

もっとも、その方言が通用するコミュニティーで暮らす分には不便や不都合はありませんし、むしろ使った方が意思疎通がしやすい場合も多いです。しかし、それを普通と思って、一歩コミュニティーの外に踏み出すと結構なカルチャーショックに見舞われます。

以下は学生の頃、東北で暮らしていたときの話です。

標準語だと思っていたものが伝わらない

方言って、方言だと分かっているものと、標準語だと思って使っているものとがありますよね。前者はコミュニティーの外で使うようなことはないのですが、後者は方言だと思ってもいないので、当然のように使ってしまいます。そして、話し相手にキョトンとされるわけです。

「舌」これ、読みは「した」ですよね、そして、別の言い方で「ベロ」なんてのもあります。そんな感じの別名で「へら」ということがあるんですよ。諏訪では。

みんなで集まった際にお好み焼きをやったんですけど、熱いものを慌てて食べた後に「ヘラ火傷したかも」と言ってその場にいる人らを大混乱に陥れた経験があります。

それから、語尾に「ら」をつけて疑問文にすることがあります。ら抜き言葉ならぬ、ら付け言葉です。「もう、セブンイレブンの新作ドーナツ食べた」みたいな使い方をします。「もう、食べたでしょ?」くらいの意味になります。

これ、完全に身に染みついてしまっているうえ、良く使うために直すのにとても苦労しました。初めて使った際は、やっぱりキョトンとされました。

なんと表現すれば良いかわからない場合がある

方言なのか標準語なのか理解したうえで、それでも困ってしまう場合もあります。それは、方言を標準語に直せない場合。

その方言のニュアンスを正確に伝えるだけの、代わりになる標準語が見つからないのです。私が困ったのは「ずく」「ごしたい」「ぶりをやく」あたりです。

goo辞書に全国方言辞典なるサービスがあるので、これで調べてみました。

dictionary.goo.ne.jp

ずくは長野の方言で惜しまず働く力のことだということですが、確かに、そういう意味なのだろうけど、ん~なんか、違う。信州人ならわかるでしょ?私が言いたいこと。この訳、間違ってはいないけど、私らが伝えたいことの8割くらいしか伝えられていないですよね。

それから、ごしたいぶりをやくはこのサービスでは調べられませんでした。

「ごしたい」は「疲れた」という意味なのですが、「疲れた」も普段から使いますので、使い分けはあるような気がします。「ごしたい」は個人的な感想では、心底疲れているときに無意識に出てくることが多いような気がします。

「ぶりをやく」は別に魚を焼くわけではないですからね。「すねること」くらいの訳がニュアンスとしては近いのかな?「子どもがぶりを焼く」みたいな使い方をします。機嫌が悪くブリブリしている様子です。

と、まぁ、このあたりの方言は地元では使用頻度が結構高いため、外に出た際に、どう言い換えればよいか分からず苦労しました。ごしたいに関しては、疲れると無意識に出てしまうので、もはやどうしようもない感じでした。最近は仕事が忙しくて、ごしてぇです。

相手の言葉も分からない

こちらの言葉が通じないのだから、相手の言葉も分からないことがあります。祖父の家に行った際に、近所の爺さんたちがお茶を飲みに来たりすると、何を話しているのかサッパリわからず、本気で困惑します。東北弁のネイティブスピーカーらの本場の発音はいつまでたっても聞き取れません。

訛りもそうですが、方言も分かりづらい。「なげる」と言われれば、「投げる」じゃないですか。なんで、「なげる」の意味が「捨てる」なんですか。「いたましい」の意味が「もったいない」とか、ややこし過ぎますよ。「いったりかったり」って「行ったり、買ったり」じゃねぇのかよ。どうして「いつでもどこでも」なんだ。「おがる」が「育つ」とか、「おしょしい」が「はずかしい」とか、もう、わけわからんかったよ。でも、「いづい」は意味とニュアンス理解できると便利すぎて、ついつい使ってしまった。今でもたまに使ってしまって諏訪の人をキョトンとさせてます。

分かってくると面白い

慣れてくると観察する余裕が出てきます。それで気が付いたのですが、「ん」から始まる言葉が多いよね。東北って。あれ、凄く面白いと思いました。ほとんどが接続詞とか感動詞なのですが、もしかして他にもありますか?しりとりが成り立っているので、名詞には無いんでしょうね。たぶん。

東北の方って、「んだから~」って話が始まりますよね。そんでもって、この、最初の「ん」がすごく特徴的。から~」と、こんな感じです。「だ」を発音するための前準備とでもいうか、無くても良いのに必ず発音され、東北弁らしい暖かみのあるイントネーションを生み出しているような気がします。

 

分かるまでは困るけれど、分かると方言って面白いですよね。分かれば。仕事などでコミュニケーションをとるために、標準語で話しますが、そのために方言が消えていくならもったいない気がします。

司馬遼太郎か何かで読みましたが、もともと、「国語」ってのも軍隊の中でコミュニケーションをとりやすいように作られたものだそうです。方言を聞くと暖かみを感じることがありますが、それは逆に言えば、標準語が冷たいのかもしれません。

 

では、また。