ヘソで茶をわかす

日本のへそ、諏訪湖畔に住む小市民の日々の記録

旧500円玉って変造500ウォン硬貨事件以来めっきり見かけなくなりましたよね

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先日、買い物をした際にもらったおつりの中に、懐かしい硬貨が一枚紛れ込んでいました。

最近ではすっかり目にすることのなくなった旧五百円玉です。

未だにギザ10はよく目にするんですけどね。旧五百円は本当に流通量が減ったような気がします。

そんなわけで、五百円玉に関するお話。

現在の500円玉と旧500円玉

まずは違いがよく分かるように、見慣れた現在の500円玉と私が先日おつりでもらった旧500円玉を並べてみてみましょう。

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左が現在の五百円玉。右が2000年まで作られていた旧五百円玉です。

デザインが少しだけ違いますよね。

「500」の二つの0の中に現在のものには500円と小さく文字が入っているのに対して、旧500円玉にはそれがありません。

裏も比べてみましょう。

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「日本国」と「五百円」という文字に現在のものには囲みがありますが、旧五百円玉にはそれがありません。

デザインの差は硬貨の側面にもあります。

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上が昔の500円玉。◆ NIPPON ◆ 500 ◆ と側面をグルリと刻印されていました。ちなみに、この旧硬貨の側面の刻印は、円周の文字の刻印の向きに対して裏表を揃えずに刻印しているらしく、文字を正しく読めるように置いた時に上面が表になるものと裏になるものとがほぼ半数ずつ存在するそうです。

そして下の硬貨が現在の500円玉。詳しくは後述しますが斜めのカットが特徴です。 

500円玉のマイナーチェンジのいきさつ

パッと見は同じ効果なのですが、よく見ると少し違いがある。そんなマイナーチェンジがあったのが2000年のことです。この年には沖縄サミットが開催され、それを記念するかのように守礼門が描かれた2000円札も登場しています。

2000年っていうと、まだちょっと前のような気がするんですけど、実はもう16年も前のことなんですよね…

実際、この旧500円玉をお釣りでもらった際も、「なんか久しぶりに見るなぁ。」くらいにしか思っていなかったのですが、生徒らに見せたところ、「何コレ!?初めて見た。よくできた偽物じゃないの?」っと大そう驚かれてしまい、「あぁ、世代によっては、もう旧500円玉の存在を知らない奴らもいるのか。」っと、時の流れの速さに驚いたところです。

さて、話を戻します。

いっしょに登場した2000円札は第26回主要国首脳会議(沖縄サミット)と西暦2000年(ミレニアム)をきっかけとして、作られたものでしたが、500円玉は何故このタイミングでマイナーチェンジを行うことになったのか?

みなさんは理由を覚えていますか?

結構、社会問題化しましたよね。当時、自動販売機のオーナーだった方は嫌なことを思い出されたんじゃないでしょうか?

原因はコイツです。

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そうです。韓国の500ウォン硬貨。主にこいつのせいで500円玉はマイナーチェンジを余儀なくされました。

変造硬貨事件(500ウォン事件)

500ウォン硬貨のせいでと書きましたが、正確さを欠きました。正しくは500ウォン硬貨を使った変造硬貨のせい。もっと言えば、そういう碌でもないことをした連中のせい。500ウォン硬貨には罪はないです。

1990年代後半から韓国の500ウォン硬貨(当時のレートで日本円で約50円の価値)を変造した硬貨を悪用する事件が多発しました。

五百円硬貨よりも後に発行された韓国の500ウォン硬貨は重さ7.7gと旧五百円玉よりやや重かったのですが、材質は同じ白銅で、大きさも同じ26.5mmと色とサイズは同じでした。

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こうして並べてみると、本当によく似ています。

このため表面を僅かに削ったり、ドリルなどで穴を空けたりすることで質量を減らすと自動販売機で500円硬貨として通用させることができたのです。

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これが当時、自動販売機オーナーらを恐怖の底に陥れた変造500ウォン硬貨です。

主な手口としては、変造した500ウォン硬貨を自動販売機に入れて、あとは返却レバーを操作し、本物の旧五百円硬貨をつり銭の取り口から取り出すというものでした。

当時の自動販売機では投入した硬貨とは異なる硬貨が返却される仕組みでした。この自動販売機の設計上の仕組みを悪用し、500ウォン硬貨と旧500円硬貨を交換し、その差額の利益を得るという小賢しい犯罪でした。

この問題を契機に、自動販売機に投入した硬貨は一旦プールされ、返却レバーが操作された際には、それが返されるように自動販売機の構造が改められたそうです。

変造硬貨対策としてのマイナーチェンジ

上記のように自動販売機の構造が改められるなど、様々なところで同種の問題に対応する試みが見られました。500円玉のマイナーチェンジもその一環でした。

まず、500ウォン硬貨と異なる素材で鋳造されるようになりました。それまでの旧500円玉や韓国の500ウォン硬貨が銅75%、ニッケル25%の白銅製なのに対し、現在の硬貨は銅72%、亜鉛20%、ニッケル8%のニッケル黄銅製となりました。

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先ほどの写真をもう一度見比べてみると、現在の500円玉の方がやや金色がかっているのが分かります。

素材の変更のため、電気伝導率などが変わり、機械での偽造硬貨の検出が容易になっているそうです。また、質量も少し減っているそうです。

デザインもより加工が難しいものへと変化しました。先に書いた側面の斜めのカットもそうで、容易には偽造できないものになりました。

あらためて、新旧500円硬貨と500ウォン硬貨を眺めてみる

3枚並べて眺めてみました。

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ホント、よく似ています。

ドリルで削った500ウォン硬貨による被害はさすがにもうないだろうと思いますが、これ、暗がりで出されたら間違って受けとってしまうかもしれません。実際、数年前にありましたよね、そんな事件。

チョッと写真暗くしてみましょうか。

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どうでしょう? 確実に見抜く自信ありますか?

全国のタクシーの運ちゃん。気を付けてくださいね。

 

 

 

ところで、新旧の500円玉はともかく、なぜ変造500ウォン硬貨なんぞが手元にあるのかと疑問に思った方もいるかもしれません。

偽造したのかって? するわけないでしょ。

私はね、やられた方。被害にあったんですよ。

その頃、自動販売機のオーナーだったんです。そして見事にやられました。

まぁ、もうずいぶんと昔のことですから、すっかり怒りもおさまr

 

収まるわけあるかぁ!!

ド畜生!!

 

この500ウォン硬貨はその時のもの。1枚だけ手元に置いておいたんです。もっとしっかりとアンテナを張って、対策をとれていれば被害を最小限に出来たかもしれないのに、それが出来なかった自分への戒めとしようと保管していました。

これはその500ウォン硬貨です。旧500円硬貨を目にしたら色々と思い出してしまって、引っ張り出してきました。

 

では、また。