ヘソで茶をわかす

日本のへそ、諏訪湖畔に住む小市民の日々の記録

その辺から生えてきたからし菜の種から作ったマスタードが野性味あふれすぎ

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鳥が種を運んできて、植えた覚えのない草や花が思いがけない場所で芽生えるってのは田舎ではよくあることです。

今年、私の運営している学習塾の敷地内にもそんな花が咲きました。菜の花(からし菜?)です。

どこの田舎でも似たようなものだと思いますが、春先になると河川敷などに沢山花を咲かせます。そんな様子を子供の頃から見ていますので、芽が出た時点で菜の花だろうということはおおよそ予想がついていました。

柔らかいうちに摘んで、おひたしにでもして喰っても良かったのですが、そんな在り来りなことをするならば、それこそ河川敷にでも沢山の菜の花を摘みに行ったほうが良さそうですし、折角ならもう少し別の使い方をしてみたい。

そう思って菜の花を、とてもじゃないけれど食べられないくらいに太くて硬い状態にまで大きく育てました。

目的は種を採取することです。

今回は菜の花の種を使ってマスタードを作ってみました。またもや食い物の話になってしまって心苦しいのですが、以下はその時の様子などです。

菜の花にはアブラナとカラシナがある

春先になるとスーパーマーケットなどにも食材として並ぶ菜の花。春の味覚として人気で、結構いいお値段がしたりするわけですが、前述の通り田舎では河川敷など至る所に群生していて、 割りと簡単に手に入ったりします。

地元諏訪でも桜の花が終わる頃からアチコチに咲き始め、ぶらりと歩けば手軽に手に入ります。

私もよく採取しては調理していますが、春の食べ物独特の甘みとほろ苦さがたまりませんよね。

 

さて、そんな菜の花が敷地内に芽生えたわけです。

ただ、少しおかしい。河川敷の菜の花が咲き始めても、花を咲かせる気配がない。「栄養の問題なのかな?」なんて思っていたのですが、どうやら一般的に菜の花と呼ばれているものにはアブラナとカラシナがあり、開花時期がカラシナのほうが遅いそうです。

もっとも、アブラナもカラシナも野生のものは交雑が進行し過ぎていて、もはや純粋なものはないのではないか、というくらいにぐちゃぐちゃになっているようですが…

写真を撮ってあれば詳しい人に確認してもらえたかもしれませんが… 残念。探してみましたがカメラのSDカードにもスマホにもありませんでした。

正確な種類の確認は今となってはできませんが、他より開花時期が遅いということはカラシナに近い菜の花なのかもしれません。

「からし菜」って、その名の通り趣旨から辛子を作ることができるんですよね。

 

 

 

…ちょっと、やってみようかな。

 

もうね。これ病気だと思うんです。気になるとね、やってみないと気がすまない。

からし菜らしき菜の花の採種と洗浄

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大きく育ったからし菜は夏本番の頃にはカラカラになっていて、採種できそうでしたが、夏期講習など仕事に追われてそれどころではなく、先月の終わりにようやく採種しました。

採種の仕方は簡単です。カラカラになったからし菜を茎ごとビニール袋に入れて封をし、それをモミモミするだけ。

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袋を揉んでいるうちにサヤが割れ、からし菜の種がサヤからこぼれ、次第に袋の下部にたまっていきます。

十分に袋を揉んで種をサヤから外せたら、袋の下部の角を少しだけ切り取ります。すると、切り取ってできた穴からサヤから外れた種と細かいゴミだけが落ちてきます。

細かいゴミが混ざってしまいますが、それでも大物のゴミをこれで分けられるので作業的にはだいぶ楽です。細かいゴミは種に比べ軽いので扇風機で風を送るなどすると種から分けることができます。

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ゴミをある程度払ったら種を水洗いします。種についている極々小さいゴミや、中身のない空っぽの種などはこの時に浮いてきますので、すくって捨ててしまいましょう。

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洗浄後はクッキングペーパーなどで水気をとります。

野生のからし菜マスタードの仕込み

からし菜の種子をキレイにしたらいよいよ調理です。

今回はこの種子をソーセージなどの肉料理にピッタリのマスタードにしていきます。

作り方は簡単。

からし菜の種子をすりつぶし、ここに塩とワインビネガーを加えるだけです。 

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すり潰した種子と塩とビネガーを混ぜ合わせたらビンに移します。ビンは煮沸消毒しておくと良いでしょう。

ビンに移す前に少しだけ食べてみたのですが、これが非常に不味い

まず種子が苦い。そして固い。加えて塩気とビネガーの酸味がそれぞれに主張してきて私のよく知っている粒マスタードとは完全に別物です。

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この状態でしばらくねかせると味がこなれてきて美味しくなるそうですが、果たして、本当によく知っているマスタードの味になるのか否か…

不安しかありません。

手作りマスタードでソーセージを食す

マスタードを仕込んでから10日ほど。そろそろ食べてみても良いのではないかと思い、ビンのフタを開けてみました。

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開けた瞬間、良く知っている酸味と辛味の効いたツ~ンとしたマスタードの香りがしました。どうやら上手くいったようです。

これなら美味しく食べられそうなので、マスタードを試すためにソーセージを準備しました。 

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あくまでも主役はマスタードです。まずは主役の味をそのまま楽しむべきだろうと思い、良い具合に香りがたったマスタードを一口食べてみました。

 

美味い!!

 

そう言うと思いましたよね。

でもね、実際に飛び出た言葉はまるで逆。

 

まっずぅ!!

何だ、コレ。まっずぅ!

 

もちろん、私も美味しいだろうと思って食べたんです。

でもさぁ、これがヒドい味なんだな…

 

まず苦い

マスタードらしい辛味と酸味もあるのだけれど、どこか苦い。

そしてプチプチとした食感が楽しいはずの粒も固くて口の中でひどくジャマ

俺は一体なんてものを作ってしまったんだ…

 

捨てるか…

いや、どんなものであれ食べ物を粗末にしてはいけない。

反省の意味も込めて、そして作ってしまったものの供養のつもりで予定通りソーセージにつけて喰いましょう。

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 絵的にはそこそこ良いのにな…

味があれではな…

 

あれ!? 美味い…

ん? どういうこと?

 

マスタードだけつまんで食べてみると、さっきと同様にヤッパリ不味い

でも、ソーセージと一緒に食べると嫌だった苦味がかえってアクセントになって美味しく感じられる。鼻腔を抜けていくツ~ンとした香りは市販されているものよりも強く、味も荒々しいが肉料理にはピッタリだ。

相変わらず種子の殻は固くて邪魔くさいのだが、どうしようもなくジャマなのだが、それでも味自体は肉と合わせると普通のマスタードよりも美味しいかもしれない。

このあたりは個々人の嗜好によるのでしょうが、私は市販品よりもこの手作りのマスタードのほうが好みの味でした。

ただ、やっぱり硬い種の殻、オマエはジャマだ…

河川敷のからし菜はマスタード用のものとは違うらしい…

さて、今回の試みの反省と感想。

まずは見出しのとおりなのですが、どうやら今回使った種子は仮にからし菜の種子だったとしてもマスタード用のものとは違うらしいです。

この記事を書くに当たり、Wikipediaを参照したのですが、こんな記述がありました。

種子はからし(和からし)の原料となりオリエンタルマスタードとも呼ばれる。マスタード(洋からし)の原料として利用されるシロガラシは、同じアブラナ科の別種である。アブラナやカブなど、アブラナ科の植物は、辛味成分であるアリルイソチオシアネートの配糖体であるグルコシノレート(Glucosinolate: 代表的なものとしてシニグリンなど)をもち、種子は種によって差はあるが、いずれも油や辛味を持つ。

カラシナ - Wikipediaより)

和辛子も洋辛子も同じ種子を使っていて、作り方が違うだけだと思っていたのですが、そもそも原料となる種子が別物だったようです。

そして私が採取したものはどうやら仮にからし菜の種子だったとしてもオリエンタルマスタード、つまりは和辛子の原料。マスタード用のシロガラシとは別の種。

一応マスタードは作れたので良しとしますが、違うものだとわかると、別の興味もわいてきますよね。

それはつまり、

シロガラシでマスタードを作ってみたい。

ってことと、

野生のからし菜の種子から和辛子を作ってみたい。

ってこと。

シロガラシについてはネットショッピングで種子が手に入りそうなので、近いうちにやってみたいです。和辛子についても是非来年以降に挑戦してみたいと思います。

そして次作る時は種子の殻はどうにかしたい。あの硬さと邪魔臭さだけは許しがたいものがあった。

 

以上、1ヶ月遅れの提出となりました夏休みの自由研究でした。

では、また。