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ヘソで茶をわかす

日本のへそ、諏訪湖畔に住む小市民の日々の記録

道草を喰った思い出

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お題「思い出の味」

このお題で文章を書くとなれば、まぁ、普通は「お袋が昔作ってくれた〇〇の味が…」とか、「〇〇食堂の××定食が…」みたいな心がほっこりするような思い出話が一般的なのでしょう。

私も別の時期にこのお題を目にしていたならば母か祖母の得意料理のことでも書いたのでしょうが、この時期になると嫌でも思い出してしまうツライ、でも、今では少しだけ笑い話になりつつある思い出の味があるので、そちらについて書きます。

6年前のちょうど今頃、私は極貧に喘いでいた

6年前の今頃、当時勤めていた会社が事実上倒産し、その後始末をしていました。

この事実上倒産という状態に陥ったのは実はもっと前で4月の下旬のこと。本来なら、その時点で清算のための手続きに入ってしまえば良いのですが、その年も御柱年。「御柱祭の期間中に解雇では従業員が不憫だ。」とわかったようなわからんような理由で、会社経営を無理やり継続。外部はもちろん社内的にも極秘です。

外見上は会社は回っているように見えますし、売り上げもあるように見えますが、入ってきた瞬間に全て差し押さえられるので、実際には被害を拡大しているだけですし、従業員を危険にさらしているだけなのです。当然、そのようなことは止めて直ぐにでも会社をたたむべきだと主張しましたが、上記のような理由で社長は私の意見を無視しました。

そんな状態が1ヶ月以上続き、御柱祭の終了と共に会社はいよいよ倒産。その後始末を任されたわけです。

ここからが地獄だった。

一般の従業員は解雇されましたので失業保険などを利用できましたが、後始末のために会社に残っていましたので、まだ解雇されていない。だから失業保険が使えない。そのくせ、差し押さえを受けているような状態だから会社から十分な給料も出ない。それも倒産状態になった4月から。

そもそも手取りも大したことが無かったので、蓄えも大きくはない。あっという間に食べるにも困るほど金欠状態に陥りました。

1ヶ月0円生活

今もやってんのかな?当時、テレ朝の黄金伝説という番組の人気企画でタレントが1万円で1ヶ月生活するってやつがありました。

節約料理などのテクニックが紹介されるデフレっぽさ全開の企画だったのですが、よゐこの浜口が参加している時は趣旨がチョッと変わるんですよね。序盤から迷走気味なのですが、かならず期間終盤になると暴走。山や海に行って「獲ったど~!!」って銛で魚捕まえたりの採集生活がスタート。

1万円生活?そもそもお金必要ないじゃん。と、企画の趣旨が何だったのか忘れてしまいます。

でね、そんな番組を好きで見ていたせいもあってね、食べるのにも困ったその頃の私は「もう、これしかないわ。」って。

きっと、あの時の私は頭が働いていなかったんだろうね。

「お、お、おなかがすくと、あ、あ、あたまが、

は、はたらかなく、なるんだな。」

つうわけで、みんなしっかり食べろよ。

リアル「道草を食う」

会社の後始末がありましたので、よゐこの浜口みたいに山や海に行くわけにはいきません。たまに諏訪湖で鯉やら鯰やらを釣って蛋白源を確保はしましたが、基本的にメインとなる食材はそのへんの草です。そう、道草を喰っていたのです。

もう少し季節が早ければ山菜などの食べて美味しい野草が手に入ったのですが、既に初夏。食べられる野草が無いわけではないですが、山菜のようにあえて食べたいというのではなく、せいぜい「食べられなくはない」程度のものばかり。その上、夏の陽ざしを浴びて、日に日に野草はあおさを増し、硬く、苦くなっていきます。

おかしなものを食べれば食中毒の心配もありますが、その辺に関しては、お祖父ちゃん子、お祖母ちゃん子だった私はよく、「戦時中はこれを喰ったもんだぞ。」とか、「昔、このあたりで飢饉があった時にはこいつを喰っていたらしいぞ。」みたいな常時であれば絶対に役に立たないであろう知識を植え付けられており、それが役に立ちました。

できることなら一生役に立たないままであって欲しかった知識と、飢えによって生命の危機を感じたのでしょうか、野生の勘みたいなものが働きまして、「お、これは喰える奴だ。」「これも美味しい奴。」と普段ならばただの雑草と認識されるはずのものから食材となる野草をチョイス。毎日、野草をムシャムシャと食べる青虫みたいな生活をしていました。

今思い返しても、ひどく惨めな生活です。

当時を思い出しながら、近所を散策

そんな草食系男子をやっていた頃のことを思い出しながら、ブラブラと近所を散策すると、当時お世話になった食料どもと再会できました。

こんなもの、よく喰ったものだけど、よく喰ったものだ。

(こんなものをたくさん食べたものだけれど、もくもまぁ、食べたものだ。)

タンポポ

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葉と花が喰える。天ぷらが美味い。葉は少し苦味と辛みがあるが、若いものならサラダでもいける。よくパスタの具材として使った。

根も喰えるし、タンポポコーヒーなどは有名だが試したことはない。機会があったら試してみ……たくない。

シロツメ草(クローバー)

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おひたしなどにして食べる。特に味はない。美味くもなければ不味くもない。

夏の野草にはこのタイプのものが多い。決して美味しいものでは無いし、不味くもないが、あえて食べたいと思うような魅力も皆無。

醤油の美味さを噛みしめる感じ。

あとは料理の彩程度に。

オオバコ

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一応喰えたけど、美味しかった記憶はない。

うん。感想もない。

アザミ

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これはまだ小さいが、育つと1m位になるものもある。花、茎、葉、根のいずれも食べられる。尚且つ美味い。ただし、育ち過ぎた茎は除く。

とげが多く採取、調理には手袋が必要。素手で扱うと傷だらけになるので注意。そんな状態のため、さすがに生では食べられない。油との相性が良かったという印象。

クレソン

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スーパーでも売っている食材なので、まぁ、この青虫生活では御馳走の部類だったのだろう。ピリッと刺激的な辛さが特徴。おひたしでも良いし、油でいためても美味しい。

鯰のフライと一緒に喰った記憶がある。あれは旨かった。危うく泣きそうになるほどに。

一番よく食べた野草はドクダミとユキノシタ

今日見つけた野草の他にも色々食べました。アカザ、シロザ、ニセアカシア、ヒョウ、ヤブカンゾウ、ミズ… 品目が増えても全然豪華にも優雅にもならない。

やっぱり、野草にも美味しいマズイ、口に合う合わないがあって、それから、採取のための手間の問題などもあるので、次第に割と美味しく食べられて、比較的簡単に採取できるものを良く食べるようになりました。

最終的に私が一番食したのは実家の庭に生えていたドクダミとユキノシタ。どちらも日陰で育つ野草なので、比較的やわらかくて食べやすかったです。

ドクダミは匂いのため、ユキノシタは見た目のために食用には向きそうもないのですが、意外や意外、どちらも結構美味しい(ように思えた)。

天ぷらが特に美味しく、ドクダミも火を通すと独特の匂いが和らぎ食べやすかったです。塩だけでいただくのがへそちゃ流。まぁ、天つゆが無かっただけなんですけれども。

まとめ

何のまとめだかわからないけれど、とにかく、酷いエントリーだということは自分でも理解している。最近の投稿ではぶっちぎりの内容の薄さだ。そして誰も得をしない。

「読み手本意の記事を書くべきだ。」というどなたかの記事を読んで感心していたのですが、結果書かれたものが、何の役にも立たないこんな記事…

 

まぁ、ともかく、このドクダミをはじめとした野草の天ぷらこそが私の思い出の味です。

「お、結構美味そうにできたじゃん。」

「ご飯の上にのせて夏の野草の天丼の完成!」

とか、「空元気も元気」とばかりに無理やりテンションあげていた遠い夏の日…

 

「涙とともにパンを食べた者でなければ、人生の本当の味はわからない」とゲーテが言ったそうですが、涙とともに道草喰っていた私は人生の本当の味がわかっていると思って良いのでしょうか。

書いておいてなんですが、本当の味も何も、人生の味わい方すら分からないのが現状です。もう少し、人生経験を積んで振り返ると分かってくるのかなぁと期待していますが、このままよく分からないうちに老いて死ぬような気もします。

ただ、いずれ、人生の味が分かったならば、おそらく、ここまでの人生の味は、夏の野草の様に青臭く苦いものだったんじゃないかと思います。

では、また。

 

食べる野草図鑑

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